不動産の相続税対策とは?相続税評価方法や節税対策・注意点も解説

相続税対策として不動産の活用を検討する際に、「なぜ不動産が節税対策になるのか」が、よくわからない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、不動産を活用した相続税対策の基本的な知識や、不動産が相続税対策として活用される理由、具体的な対策法や注意点などについて詳しく解説します。
効果的な相続税対策を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 不動産による相続税対策の基礎知識
- 不動産の相続税評価方法
- 不動産に関する主な相続税対策3選
- 不動産による相続税対策の注意点
- 相続した不動産の取り扱いにお悩みならトランクルーム経営も方法の1つ
- 不動産で相続税対策するなら専門家に相談がおすすめ
不動産による相続税対策の基礎知識
不動産を活用した相続税対策は、大切な資産を守るための有効な手段の1つです。
相続税の仕組みや課税対象となる資産の範囲などの基礎知識を整理するとともに、不動産が相続税対策として注目される理由を確認していきましょう。
相続税の基本と課税対象
相続税とは、亡くなった親など(被相続人)からお金や土地などの財産を受け継いだ場合に、その受け取った財産にかかる税金です。ただし、財産を相続した場合に必ず発生するわけではなく、一定額(基礎控除額)を上回るときにかかるものです。
相続税の課税対象となる財産には、現金や預貯金のほか、不動産・株式・保険金などさまざまな資産が含まれますが、一方、墓地や仏壇、一定の範囲内の弔慰金など非課税の財産も存在します。
相続税は「財産の評価額」をもとに計算されるため、資産の種類によって評価額が異なり、結果として相続税額にも差が生じます。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4105 相続税がかかる財産」
不動産が相続税対策として注目される理由
不動産が相続税対策として注目される理由は、相続税の計算に用いられる評価額が、実際の市場価格より低くなることが多いためです。
相続税は「相続税評価額」をもとに算出されます。現金や預貯金は額面通りの金額で評価されますが、不動産は土地と建物で評価方法が異なり、一般に時価より低い評価額となることがあります。
不動産の評価は、賃貸することでさらに評価額を下げられることもあります。また、一定の要件を満たす場合、「小規模宅地等の特例」により評価額を大幅に下げることも可能です。
このように、現金や預貯金として保有するよりも、不動産のほうが評価額を下げられる可能性があるため、相続税対策として注目されています。
相続税額の算出方法
前述のとおり、相続税は「相続税評価額」をもとに算出されます。
不動産の相続税評価は、土地と建物で計算方法が異なります。土地は「路線価方式」や「倍率方式」、建物は「固定資産税評価額」を基準に評価されるのが一般的です。
なお、相続税の計算における土地の評価は、国税庁の基準に基づく相続税評価額で行われます。
以下にて、不動産の相続税評価方法について詳しく解説していきます。
不動産の相続税評価方法
ここからは、不動産の相続税評価方法として、「土地評価」「建物評価」を1つずつご紹介します。
効果的な節税対策を検討するにあたり、それぞれの評価の仕組みを正しく理解しておきましょう。
土地評価
土地評価は、相続税の税額に大きな影響を与えます。土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」があります。
路線価方式は、「1平方メートルあたりの価額(路線価)」を基準に、面積や各種補正率を踏まえて土地の評価額を算出する方法です。路線価が定められている地域に適用されており、土地の状況によっては減額補正の対象となります。
土地評価の計算手順は以下のように行います。
- 面積を調べる
- 路線価を調べる
- 補正率を調べる
- 計算式のとおりに計算する
路線価方式による評価額は、一般に「路線価×各種補正率×地積」で算出します。
路線価は、国税庁の「路線価図」で確認可能です。たとえば、道路に「200C」と記載されている場合、1平方メートルあたり20万円であることを意味します。
また、変形地や奥行きが極端に長い土地などの場合は利用価値が下がるため、「補正率」を掛けて評価額を下げることになります。
なお、路線価の定められていない地域では、倍率方式が採用されます。倍率方式は、「固定資産税評価額」に一定の倍率を掛けて評価額を算出します。
正確な土地の評価額を知りたい場合は、専門家へ相談するのがおすすめです。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4604 路線価方式による宅地の評価」
参照:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|令和7年分財産評価基準を見る」
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4606 倍率方式による土地の評価」
関連記事:「相続税の土地評価とは?計算方法や相続税への特例、注意点などを解説」
建物評価
建物の相続税評価額は、「固定資産税評価額」を基準に算出します。固定資産税評価額に1.0を掛けて計算した金額となるため、相続税評価額=固定資産税評価額になると捉えて問題ありません。
賃貸物件として利用している場合は、「借家権割合」や「賃貸割合」を踏まえて評価額が調整されることもあります。
借家権割合とは、賃貸している建物やその敷地の評価額を算出する際に用いる割合のことです。
賃貸割合とは、課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計が、建物全体の各独立部分の床面積の合計に占める割合をいいます。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4602 土地家屋の評価」
不動産に関する主な相続税対策3選
不動産に関する相続税対策として、主に以下の3つの方法があります。
- 預貯金を不動産に組み替える
- 不動産を賃貸物件として活用する
- 小規模宅地等の特例を活用する
資産圧縮や評価額の引き下げ、特例の適用による税負担の軽減など、不動産特有の仕組みや制度を理解することがポイントです。
大切な資産を守るため、それぞれの方法を確認していきましょう。
預貯金を不動産に組み替える
先にも触れたとおり、現金や預貯金は相続税の計算では額面通りの金額で評価されます。しかし不動産は、土地や建物ごとに定められた評価方法によって算出されるため、実際の市場価格より低く評価される可能性があります。
たとえば、現金1億円を保有している場合の評価額は1億円ですが、不動産は時価ではなく評価額で評価されるため、相続税評価額を抑えられる場合があります。
なお、令和8年度税制改正大綱では、令和9年1月1日以後の相続等から、課税時期前5年以内に取得または新築した「一定の貸付用不動産」は、「通常の取引価額に相当する金額」で評価する見直しが示されています。
つまり、相続発生の直前に駆け込みで賃貸物件の取得や新築を行っても、従来のような節税効果は見込みにくくなるため、注意が必要です。
不動産を賃貸物件として活用する
不動産を第三者に賃貸する方法があります。
賃貸した土地は「貸家建付地(かしやたてつけち)」に、建物は「貸家」として扱われ、賃借人の権利が考慮されるため、評価額が調整される仕組みとなっています。
なお、貸家建付地の評価額を求める計算式は以下のとおりです。
貸家建付地の評価額=自用地としての評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
また、賃貸経営によって家賃収入を得られるため、資産運用と相続税対策を同時に行える点もメリットです。ただし、空室リスクがあることや維持管理などのコストや手間がかかるといった注意点もあります。
収益やリスク・コストを総合的に判断し、長期的な運用計画を立てることが大切です。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4614 貸家建付地の評価」
関連記事:「戸建て投資とは?メリット・デメリットや始める3ステップを解説」
小規模宅地等の特例を活用する
小規模宅地等の特例とは、被相続人が利用していた土地について、相続税評価額を大幅に減額できる制度です。居住用や事業用の宅地など、一定の条件を満たす場合には、最大80%まで評価額を減額できる可能性があります。
宅地等には以下のような種類があり、それぞれ限度面積や減額割合が決められています。
- 特定事業用宅地等
- 特定同族会社事業用宅地等
- 特定居住用宅地等
- 貸付事業用宅地等
ただし、相続人の居住状況や事業の継続状況など、適用要件が細かく定められているため、自身のケースが対象となるかを事前に確認しておくことが重要です。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
不動産による相続税対策の注意点
不動産を活用した相続税対策は節税効果が期待できる一方で、注意を要する点もあります。納税時に資金が不足しないよう納税資金を確保することや、争いを生じさせないために相続人の間で合意形成を図ることは、特に重要です。
円滑な相続を実現するために、覚えておきたい注意点を解説します。
納税資金の確保
相続税は、原則として金銭で一括納付します。申告と納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。それまでに納税資金を確保しておく必要があります。
節税に集中しすぎるあまり現金や預貯金を不動産に換えすぎると、納税時に現金が不足し、生活資金を圧迫したり、資産の組み替えや売却を検討する必要が生じたりする可能性があります。
なお、一定の場合には延納(分割払い)や物納(現物で納付)も選択できますが、まずは納税資金を事前に見積もっておくことが重要です。
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4205 相続税の申告と納税」
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4211 相続税の延納」
参照:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)|No.4214 相続税の物納」
家族での話し合い
相続については、相続人同士で意見が分かれることも少なくありません。不動産は現金のように1円単位で分割できない性質があるため、事前の話し合いを怠ると、トラブルに発展するリスクがあります。
トラブルを防ぐためにも、相続が発生する前に家族で話し合い、資産の分け方や管理方法について一定の方向性を共有しておくことが重要です。
相続した不動産の取り扱いにお悩みならトランクルーム経営も方法の1つ
相続した不動産などの取り扱いにお悩みであれば、土地活用をするのも選択肢の1つです。なかでも、トランクルーム経営が方法の1つです。
トランクルーム経営とは、所有している土地や建物を活用し、コンテナを使用した屋外型や屋内型などの収納スペースとして貸し出すことで、利用者から賃料収入を得る土地活用の方法です。
アパートやマンションなどの居住用住宅の経営と比較すると、建物を建設する費用がかかりにくいため、低コストでの運営が可能です。近年は、住宅の狭小化などの影響もあり、収納スペースのニーズは個人・法人ともに高まりを見せています。
駐車場経営やアパート経営などの土地活用は立地の影響を受けやすいですが、トランクルーム経営は立地の影響を受けにくい点も魅力です。
トランクルーム経営に興味のある方は、こちらの記事で詳しい内容をご確認ください。
関連記事:「トランクルーム経営とは?初期費用や失敗しないためのポイントを解説」
トランクルーム経営ならエリアリンクへご相談を
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不動産で相続税対策するなら専門家に相談がおすすめ
不動産は、相続税の計算上、実際の市場価格より低い評価額となることが多いため、相続税対策として活用されています。
一方で、納税資金の確保や家族での話し合いなど、注意すべき点もあります。節税効果を十分に活かせるよう、仕組みや注意点を理解しておきましょう。
不動産を活用した相続税対策は専門的な知識が必要になることが多く、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。
相続した不動産の取り扱いに悩んでいる場合は、トランクルーム経営も方法の1つです。気になる方は、エリアリンクまでぜひお問い合わせください。
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監修者|水野 崇(みずの たかし)
水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。中学、高校、大学、専門学校で金融経済教育を行うほか、テレビ朝日、BSテレ東、TOKYO MXの番組に出演。NHKドラマ「3000万」家計監修。独立系FPとして、相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など幅広く活動している。
<資格>宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者 ほか