借地権とは?地上権との違いや土地を貸すメリット・デメリットを解説

税金・評価・法令

掲載日:2025年11月14日
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土地活用のなかには、借地として「所有している土地を貸す」という方法もあります。

ただし、借地によって収益を得るためには、借地権への理解が不可欠です。本記事では借地権の概要、借地のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

また、土地活用方法としてトランクルーム経営にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

目次

借地とは?

借地とは「借りている土地」のことをいいます。

土地を借りる側と貸す側では呼び方が異なり、土地を借りる側が「借地」と呼ぶのに対し、土地を貸す側では「貸地」と呼びます。

「土地を貸して収益を得たい」と考える方は少なくありませんが、借地による土地活用を行うためには、「借地権」への理解が必要です。

借地権とは 

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を借りて利用する権利を意味します。建物を建てる側の個人や企業などは土地を所有しない点が大きな特徴です。

ここでは、借地権について詳しく見ていきましょう。

地上権と土地賃借権(賃借権)の違い

借地権は「地上権」と「土地賃借権」の2つの権利に分かれます。

  • 地上権:土地の所有者の許諾がなくても、建物の売却や担保の設定などが可能
  • 土地貸借権:土地の所有者の許諾を得ないと、建物の建て替えや売却は不可

地上権、土地賃借権は、どちらも他人の所有している土地を活用する権利です。

2つの権利には、以下2点の共通事項があります。

  • 建物を所有する目的の場合、借地借家法が適用される
  • 建て替え等に伴う条件は契約による(土地の所有者と借りる側の合意によって定められる)

土地の所有者にとっては地上権よりも土地賃借権が有利に働きやすいため、住宅に対して土地賃借権が設定されるケースが多いです。

借地借家法と民法の借地権の違い

一般的な「借地権」とは、借地借家法に基づく借地権を指していますが、民法上の「借地権」も存在します。

借地借家法に基づく「借地権」とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のことをいいます。

借地人が土地を利用する権利を法律にもとづいて保護し、土地の所有者と借りる側とのトラブル防止を図るものとされています。土地の所有者を保護するルールが含まれており、民法よりも優先されるケースが多いといわれています。

一方、民法上の「借地権」は、建物の所有を目的としない土地利用に適用するものであり、例としては月極駐車場などが挙げられます。

もともと借地権は原則的に書面での契約を交わす必要がなく、契約期間は木造の建物で20年、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合は30年とされていました。

しかし、土地の所有者が借りた側から土地を返還されないという問題が発生したため、1992年に借地借家法が施行されたという背景があります。

借地権は3種類!内容と更新ルール

借地権には以下の3つの種類があり、それぞれ内容や更新ルールが異なります。

  • 旧借地権
  • 普通借地権
  • 定期借地権等

現行の借地契約においては、普通借地権と定期借地権等が用いられています。

旧借地権とは

旧借地権とは、1992年8月の借地借家法の施行前に契約された借地権で、旧借地法に基づきます。

存続期間は建物の種類によって異なり、堅固建物(石造、土造、レンガ造、コンクリート造、ブロック造等)は30年以上、非堅固建物(木造等)は20年以上と定められています。

存続期間はあるものの借地人(土地を借りる側)からの更新の請求により更新可能で、更新を拒否する場合は土地の所有者側に「正当事由」が必要です。こうした背景から、土地の所有者から解約しにくく、借地人に有利な借地契約として知られています。

普通借地権とは

普通借地権とは1992年8月の借地借家法施行後に契約された借地権です。借地借家法に基づく、2025年現在における借地権の基本の契約種類です。

存続期間は構造に関係なく、一律30年以上となります。最初の契約更新は20年以上、以降は10年以上と定められており、期間満了後も原則として更新可能です。

更新を拒否するためには土地の所有者側に「正当事由」が必要であるため、借地人は長期間安定して土地を利用できます。

定期借地権等とは

定期借地権等とは、更新がなく契約満了で終了する以下の4つの権利の総称です。

  • 一般定期借地権
  • 事業用定期借地権等
  • 建物譲渡特約付借地権
  • 一時使用目的の借地権

「一般定期借地権」の契約期間は50年以上とされており、契約期間の満了に伴って土地の所有者に土地を返還しなければなりません。

「事業用定期借地権等」の契約期間は10~50年未満で、事業用建物所有を目的に、土地を借りられる権利のことをいいます。なお、契約期間の満了に伴って建物を壊して土地を返還しなければなりません。

「建物譲渡特約付借地権」の契約期間は30年以上となります。30年以上経過した時点で建物を相当の対価で土地の所有者に譲渡することを特約として契約し、期間満了時に土地の所有者に建物を譲渡することになります。

「一時使用目的の借地権」において、法定存続期間の適用はありません。マンション建設中の現場事務所など一時的な使用が目的である場合に認められる権利で、更新や建物買取請求権などは適用されません。

参照:国税庁「No.4611 借地権の評価」
参照:国土交通省「定期借地権の解説」

借地権割合の確認方法

借地とされている土地の権利は土地の所有者である地主が持っている底地と、借りている人の借地権がある借地に分かれます。

借地権割合とは、土地の更地評価額に対する借地権価額の割合のことです。相続税や贈与税の計算や借地権付き不動産を売買する場合の価格算定に用いられます。地価の高い地域は借地権割合が高くなるのが一般的です。

借地権割合は、30から90%の間(10%刻み)で定められており、国税庁Webサイトの「路線価図・評価倍率表」で調べることが可能です。

参照:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」

借地(土地を貸すこと)のメリット

借地として土地を貸すことには、「長期的な安定収益につながる」「建物の建設費用の投資や修繕費も不要」といったメリットがあります。

ここでは、借地として土地を貸すことのメリットを詳しく見ていきましょう。

長期的な安定収益につながる

基本的に借地は10年以上など長期の契約になるため、長期的な安定収益につながります。

空室が埋まらないなど、稼働率の低下によって収益変動のリスクが高いマンション経営や駐車場経営に比べて、収益変動が少ない点はメリットです。

立地や土地状況の影響から、住宅やマンション、駐車場として需要が少ない土地であっても、借地として長期的な契約ができれば、50年以上の安定収益にもつながる可能性もあるでしょう。

建物の建設費用の投資や修繕費も不要

借地は所有している土地を貸すだけの契約になるため、建物の建設費用の投資が不要です。また、建物を所有するわけではないため、建物の維持管理に必要な修繕費なども発生しません。

ただし、所有している土地にかかる固定資産税は、借地でも土地の所有者が負担するのが一般的です。しかし、固定資産税分を含んで土地の賃料を算出することで、経費として固定資産税分の費用を受け取れることが通常となっているため、税の負担軽減を図ることができます。

借地(土地を貸すこと)のデメリット

借地として土地を貸すことにはメリットがある一方で、他の土地活用と比較して収益は低い傾向があることや、契約期間が長期になることがデメリットとなる場合もあります。

借地として土地を貸すことのデメリットを知り、適切な土地活用法かどうかを見極めましょう。

他の土地活用と比較して収益は低い傾向がある

マンション経営などと比較すると、借地として土地を貸す場合の収益自体は低い傾向があります。この点はデメリットといえるかもしれません。

ただし、借地として土地を貸す場合、長期的に安定収益を得られる、建物の建築費用や修繕費が不要というメリットもあります。

こうしたメリットとデメリットを勘案したうえで、借地として土地を貸すかどうかを検討しましょう。

契約期間が長期になる

前述のように、長期的な収益につながるのが土地活用における借地のメリットです。しかし、借地の契約期間中に土地の所有者は土地を利用できません。

将来的に土地を異なる方法で利用したいなどの計画がある場合は、借地がデメリットとなる可能性があります。

長期間土地を利用する可能性がない場合やほかにも利用できる土地がある場合は、借地にしてもよいでしょう。

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関連記事:トランクルーム経営とは?初期費用や失敗しないためのポイントを解説

借地権の理解も土地活用を検討するうえでは重要

本記事では、借地権について詳しく解説しました。

マンション経営や駐車場経営と比較すると、借地は土地の活用方法として「長期的な安定収益につながる」「建物の建設費用の投資や修繕費も不要」といったメリットがあります。

しかし、借地による土地活用では契約期間が長く、契約の途中に別の用途で土地を利用することができません。また、安定収益にはつながるものの、他の土地活用と比較すると収益は低い傾向があります。

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桜井鉄郎さん

監修:桜井鉄郎

東証プライム上場の金融機関で主に住宅ローンの相談販売を担当(相談件数:約2,000件)。FPの視点で顧客に最適な返済プランや返済開始後のライフプランを提案。マイホーム購入に関連する法令・税額控除制度等についても説明。