生前贈与の際に気を付けること

税金・評価・法令

掲載日:2016年12月19日
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生前贈与の際に気を付けること

2015年1月に相続税が大幅に増税されました。そのため、相続税対策として生前贈与を考えている人は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、生前贈与をする際に気を付けるべきことを詳しく解説していきます。

生前贈与とは

「生前贈与」というのはその名の通り、自分(贈与者)が生きているうちに自分の財産を無償で相手(受贈者)に分け与えることを言います。受贈者1人あたり年間110万円(基礎控除)まで贈与税が課税されないため節税効果が高く、主に相続税対策として、親族間で行われています。節税効果のある生前贈与を行うためにも、現金だけでなく、土地、株式などすべての財産リストを作成し、自身の資産状況を正しく理解しておくようにしましょう。

生前贈与の際に気を付けること

節税のために生前贈与を活用する場合には、気を付けることがいくつかあります。下記にまとめたのでご確認ください。

基礎控除額に注意

贈与税の基礎控除額というのは、年間1人あたり110万円まで贈与税がかからないという意味です。ただし、父方母方両方の祖父からそれぞれ110万円をもらった場合、受け取った金額の合計は220万円になるため、基礎控除額を超えていることになり、贈与税が課税されるので注意が必要です。

一括ではなく分割して行う

贈与税は基本的にその金額が高くなればなるほど税率が上がるため、一括で贈与を行うと不利になる場合があります。生前贈与をする場合には、年間1人あたり110万円の贈与税の基礎控除を積極的に活用して長い時間をかけて分割するようにしましょう。ただし、毎年決まった時期に基礎控除以下の決まった金額を贈与し続けていると、税務署に「最初から一括贈与するつもりだった」とみなされてしまい、多額の贈与税が課せられることもあるので気を付けましょう。

「駆け込み贈与」に注意

暦年課税によって生前贈与をしたものの、3年以内に相続が発生した場合には、贈与した分も相続税の計算に持ち戻されてしまいますので、相続間際に行う「駆け込み贈与」は節税としての役目を果たさないと思っておきましょう。

預金を贈与する場合は注意

税務署が贈与と認めないケースの多くが預金だと言われています。贈与税と認めてもらうためには、通帳、印鑑カードは受け取る側が必ず保管していることが大前提です。できれば子どもが普段使っている口座に振り込むようにし、基礎控除額を超える場合には必ず申告するようにしましょう。

毎年小額ずつ贈与税を納める

贈与であるという証明をするためにも、毎年小額ずつ贈与税を納めるのもひとつの方法です。例えば、毎年111万円を贈与し、基礎控除額の110万円を超えた1万円に対して贈与税を支払うようにすれば、税額は1,000円ですむというわけです。

生前贈与による不動産の名義の変更方法

生前贈与で不動産の名義を親から子どもなどへ変更した場合、「登録免許税」と「不動産取得税」という税金の支払い義務が生じます。それぞれの支払い方法を見ていきましょう。

登録免許税

登録免許税の税額は、土地、建物の場合、基本的に「固定資産税評価額の2%」です。例えば、生前贈与する土地の固定資産税評価額が2,000万円だった場合、「2,000万円×2%=40万円」となります。支払い方法は現金ではなく、法務局の窓口で登録免許税分の収入印紙を購入し、その収入印紙を名義変更の申請書と一緒に法務局の窓口へ提出します。

不動産取得税

不動産を「もらう人」が支払う税金です。土地や建物の不動産取得税の税額は「固定資産税評価額の3%」で、例えば生前贈与する土地の価格が2,000万円の場合、「2,000万円×3%=60万円」となります。不動産取得税は土地や家屋を贈与された日から60日以内に不動産取得申告書を提出し、その後、送付される納税通知書(納付書)を使って、金融機関に納めます。

相続税対策として生前贈与を考えている人は、その仕組みをしっかりと理解した上で賢く贈与しましょう。