空き家を放置するとどうなる?罰則やリスク、管理方法や活用法を紹介

土地の活用

掲載日:2025年11月28日
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少子高齢化やライフスタイルの多様化などを背景に、誰も住まずに放置されたままの家が増え、景観の悪化や防犯上リスクの増大など、多くの問題を引き起こしています。

本記事では、空き家を放置するリスクや空き家の管理方法、空き家の活用法などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次

空き家の放置が問題になる背景

空き家とは、おおむね1年以上誰も住んでおらず、使用されていない建物のことです。全国的に空き家の数が増えており、社会問題化しています。

総務省が2023年10月に実施した調査によると、総住宅数6,502万戸のうち、空き家は900万戸となり、2018年(849万戸)から51万戸増加しました。空き家率は13.8%と、過去最高を記録しています。

空き家が増える背景として、人口減少や高齢化により、住宅の需給バランスに変化が生じていることが挙げられます。親が亡くなって相続が発生しても家を引き継ぐ子どもがいなかったり、すでに子どもがほかの場所に自宅を構えていたりするケースが増えていることが考えられるでしょう。

放置された空き家は治安や景観、防災面で地域に悪影響を与えるため、看過できない問題です。国や自治体が「空家等対策の推進に関する特別措置法」にもとづき対策を進めています。

参照:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」

空き家放置による3つのリスク

活用していない空き家を管理することは手間がかかるものです。しかし、空き家の放置はさまざまなトラブルの要因となります。

主なリスクは、以下の3つです。

  • 近隣への迷惑・トラブル
  • 倒壊・火災の危険性と損害賠償リスク
  • 「特定空家」に指定されるリスク

それぞれについて詳しく解説します。

近隣への迷惑・トラブル

空き家を放置すると雑草や樹木が繁茂して隣家の敷地を侵害してしまうことがあります。伸びた樹木が隣家の駐車場や家屋にかかることにより、落ち葉や樹液が落ちるなどの被害が生じることもあるでしょう。

雑草が生い茂ることによって害虫が発生したり、家の中の換気や掃除が行き届かないことによってシロアリが発生したりするリスクも高まります。

また、誰も足を踏み入れていないような空き家は不法投棄や不審者の侵入に利用されやすい側面もあり、周囲の治安を悪化させます。

さらに、建物の老朽化が進み、管理が行き届いていない空き家は周囲の景観を損ね、周辺の不動産価値に影響を与えかねません。これらの理由により、近隣住民からの苦情やトラブルが増えることが予想されます。

倒壊・火災の危険性と損害賠償リスク

人が住まなくなると建物の老朽化が一気に進み、屋根や外壁が崩落する危険性があります。台風や地震などの災害時に倒壊し、近隣の建物や通行人に被害を及ぼすおそれがあるでしょう。

また、空き家は放火のターゲットになりやすいことだけでなく、雑草が生い茂った庭は延焼するリスクも高まります。

空き家が原因で何らかの損害が生じた場合、所有者が賠償責任を負わされるおそれがあります。損害賠償額は高額になることもあるため、所有者による日ごろからの管理が大切です。

特定空き家に指定されるリスク

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家法」)では、「放置すると倒壊のおそれがある」「衛生上有害となるおそれがある」「景観を損なっている」などに該当する空き家を「特定空家」に指定し、対策を行っています。

「特定空家」の所有者に対し自治体は空き家の適正な管理を促すため助言や指導を行います。助言や指導をしても状況が改善されない場合、自治体は具体的措置を講じるように「勧告」します。この「勧告」を受けると翌年から「住宅用地の特例措置」が適用されなくなります。「住宅用地の特例措置」が適用されないと、「非住宅用地」として課税されるため、固定資産税が最大6倍に増えることがあります。

さらに、行政からの助言や指導、勧告に対して適切な対応を行わないと、罰金が科せられるおそれがあるため、注意が必要です。

参照:国土交通省「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針 (ガイドライン)」

空き家を放置した場合の罰則

空き家を放置すると、さまざまなトラブルの要因になることを解説しました。「空家法」では、空き家を放置した所有者に対する具体的な罰則について定めがあります。

空き家を放置した場合の罰則は、以下のとおりです。

  • 「特定空家」の指定
  • 強制撤去・費用請求

それぞれについて詳しく解説します。

「特定空家」の指定

「特定空家」に指定されると、自治体から助言や指導が行われます。助言や指導に従わないと、次のステップとして勧告がなされます。

勧告が行われるケースは、すぐに対応しないと近隣住民に大きな影響を与える状態であることがほとんどです。「特定空家」に指定された後に勧告を受けると、改善されるまで固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。

勧告後も状況が変わらない場合、自治体は所有者に対して改善の命令をします。命令は助言や指導、勧告よりも重い措置であり、命令に従わない場合は50万円以下の過料が科されます。

強制撤去・費用請求

「特定空家」の所有者が自治体の命令に従わない場合、行政が強制的に必要な措置を講じることができます。これを行政代執行といいます。

本来、空き家を管理するのは所有者の役目ですが、特に緊急の必要があると判断された場合は行政代執行がなされ、空き家が強制的に解体・撤去され、かかった費用は所有者の負担となります。空き家を放置すればするほど解体・撤去に要する費用は高くなるため、注意が必要です。

空き家を放置したままにしないための管理方法

「特定空家」の指定を回避するために、空き家は放置せずに適切な管理をすることが大切です。こまめなメンテナンスによって、建物の劣化やトラブル発生のリスクを抑えられるでしょう。

主な管理方法は、以下の3つです。

  • 自分で定期的に管理する
  • 専門業者や管理サービスに委託する
  • 親戚・知人に依頼する

それぞれについて詳しく解説します。

自分で定期的に管理する

月に1〜2回程度掃除や換気、草刈りを行うことが大切です。家の中を見回り、建物の劣化の進み具合や設備の不具合などをチェックすることも忘れずに行いましょう。雨漏りは建物の劣化につながるため、発見した場合は早めの対処が必要です。

また、郵便物は回収し、周囲から不在を悟られないようにすることが防犯の観点からも重要です。

定期的なメンテナンスによって外観を整えることで、不法侵入や放火のリスクも下げられます。

専門業者や管理サービスに委託する

専門業者や管理サービスに空き家の管理を委託する方法があります。空き家の管理を代行するサービスは、主に不動産会社などが提供しており、定期的に空き家を巡回し、掃除や換気、設備のチェックなどをしてもらえます。

遠方に住んでいて定期的に空き家を訪れることが難しい場合などに、最適なサービスといえるでしょう。費用は月額数千円が相場です。空き家管理に関する報告書などを作成してもらえるサービスもあり、安心して管理を任せられます。

親戚・知人に依頼する

空き家の近くに親戚や知人が住んでいる場合、管理を依頼することで管理に要するコストを抑えられます。その際、マナーとして謝礼を準備しておくとよいでしょう。定期的な巡回や庭の掃除などを頼んでおけば、最低限の維持が可能です。

ただし、親戚や知人は空き家管理のプロではないため、完璧を求めることは難しいでしょう。庭の手入れや建物のメンテナンスを定期的に行うには、労力が要ります。負担をかけすぎると関係が悪化するケースもあるため、注意が必要です。

信頼できる方に依頼すれば、トラブルが防ぎやすいでしょう。

空き家を処分・活用する方法

空き家を放置し続けることにはさまざまなリスクが伴うため、早期に処分や活用を検討することが賢明です。状況によって適切な方法が異なるため、それぞれのメリット・デメリットをよく理解することが大切です。

主な処分・活用方法は、以下の4つです。

  • 売却する
  • 更地にする
  • 相続放棄や寄付をする
  • 土地活用をする

それぞれについて詳しく解説します。

売却する

空き家を売却する際は、不動産会社に仲介を依頼する方法が一般的です。不動産会社に仲介を依頼すれば、市場価格で売れる可能性があります。

売却を希望する空き家の近くにある不動産会社であれば、その土地の不動産事情を把握しているため、話がスムーズに進む可能性が高いでしょう。すぐに現金化したい場合は、買取業者を利用する方法もあります。

更地にする

建物が老朽化している場合は、解体して更地にする方法があります。更地のほうが、買い手はすぐに家を建てられるため、売却しやすい場合があります。解体費用の相場は、建物の坪数によりますが、木造で100万〜200万円程度です。

ただし、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなるため、固定資産税が増えるケースがある点に注意してください。

相続放棄や寄付をする

土地によっては売却や活用が難しいことがあります。その場合の選択肢として、相続放棄という方法があります。相続放棄とは、被相続人のすべての権利や義務を受け継がないために行う手続きです。ただし、相続放棄するとほかの資産の相続権も失うため、注意が必要です。

2023年4月に開始された「相続土地国庫帰属制度」を活用し、相続した土地を国に所有してもらうことも、選択肢の1つとして検討するとよいでしょう。

また、自治体やNPO法人への寄付も考えられます。

いずれも、どうしても活用できない場合の最終手段として理解しておきましょう。

参照:法務省「相続土地国庫帰属制度について

土地活用をする

空き家の土地を利用して土地活用に取り組む方法もあります。土地活用の方法としては、駐車場経営やマンション経営、トランクルーム経営などが一般的です。

どのような活用方法を選ぶかによって初期費用やランニングコストが異なるため、よく調べてから準備する必要があります。また、土地の条件によっては需要が見込めない場合もあるため、事前のシミュレーションが大切です。

空き家の土地活用ならトランクルームも選択肢の1つ

建築型トランクルーム

空き家の土地活用なら、トランクルーム経営という方法もあります。

トランクルームとは、土地に倉庫やコンテナを設置し、収納スペースとして貸し出すサービスのことです。「駅から遠い」「変形地に該当する」など、マンションや駐車場経営に向かない土地でも、トランクルームなら需要が見込めるかもしれません。

エリアリンクのトランクルームには以下のような特徴があります。

  • 「10年間一括借り上げ」のため、稼働率にかかわらず安定的な賃料収益が得られる
  • 集客からメンテナンスまで、運用・管理も代行してもらえる
  • マンション経営など他の土地活用と比較して初期費用を抑えやすい

トランクルームの運用に必要な利用者の集約や事務手続きなどは、すべてエリアリンクが代行するため、手間がかかりません。トランクルーム経営は、ほかの土地活用と比較して、初期費用を抑えやすいことも大きなメリットです。

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空き家は放置せず適切な管理や運用に取り組もう

空き家は放置すると近隣の住宅に迷惑をかけるおそれがあり、倒壊や火災などによって損害が発生すると多額の賠償金を請求されることがあるため、適切な管理が求められます。

空き家の処分や活用法にはさまざまな選択肢がありますが、トランクルーム経営もその1つです。トランクルームなら、ほかの土地活用法で需要が見込めない土地でも収益化できる可能性があります。エリアリンクのトランクルームによる土地活用をぜひご検討ください。

【お問い合わせ・資料請求はこちら】

トランクルーム経営ならエリアリンクの「ハローストレージ」

エリアリンク株式会社は、「世の中に便利さと楽しさと感動を提供する」を理念に掲げ、トランクルーム「ハローストレージ」の運営を行うストレージ事業を中心に、ストック型ビジネスで安定性の高い経営を推進しています。

1995年の創業より着実に成長を続け、2003年に東京証券取引所マザーズに上場、2022年には東証スタンダード市場への移行もいたしました。

エリアリンクが展開するトランクルーム「ハローストレージ」は、全国に2,500物件以上・12万室以上を展開しており、業界最大規模、掲載物件数は全国No.1(※)です。

近年、トランクルームの認知度は高まりつつあり、市場規模が拡大傾向にある業界です。駅から遠い、地形が悪い、土地が狭いなどの理由から、マンション・アパート・駐車場経営が困難な土地でも、屋外型トランクルームなら有効活用できることから、遊休土地活用の選択肢として注目を集めています。

土地の活用方法にお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。

※2022年3月期 指定領域(※)における市場調査
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
※屋内型、屋外型の合計掲載物件数・屋外型の掲載物件数において物件数 No.1
※「指定領域」=レンタルスペースの物件数の情報をWeb で公開している 8 社(エリアリンク社独自調査。2022年3月時点のウェブ上での屋内型、屋外型の合計掲載物件数・屋外型の掲載物件数上位8社)を対象として、物件数を No.1 検証調査

<エリアリンク株式会社 公式ホームページはこちら>

桜井鉄郎さん

監修:桜井鉄郎

東証プライム上場の金融機関で主に住宅ローンの相談販売を担当(相談件数:約2,000件)。FPの視点で顧客に最適な返済プランや返済開始後のライフプランを提案。マイホーム購入に関連する法令・税額控除制度等についても説明。