土地の権利証を紛失してしまった時の対処法は?

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掲載日:2016年11月19日
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土地の権利証(または権利書)を紛失すると、偽造されたり、勝手に移転登記などをされたりする可能性があります。思いもよらない事態に発展するかもしれませんので、万一に備え、対処法をきちんとおさえておきましょう。こちらでは、権利証の概要および紛失時の対処法についてご案内します。

登記がきちんと行われたことを示す書類

権利証とは、不動産の登記を終えたことを示す書類のことです。あくまで登記の完了を示す書類であり、土地所有者を証明するものではありません。従来、所有権移転のほか、抵当権や賃貸権を設定した際に登記済証として発行されていました。

ただ、平成17年に新不動産登記法が施行されて以来、登記済証よりもセキュリティ精度の高い「登記識別情報通知書」および「登記完了証」への切り替えがなされています。平成17年以降に手続きを行った方の手元には、これらの書類がそろっているはずです。

とはいえ、それ以前に手続きを行った方に関しては、登記済証がまだ不動産に関して大切な役割を果たします。登記済証は一度限りの作成となり、再交付は認められませんので、新たに手続きを行うまではきちんと保管してください。

紛失してしまった場合には代替手段で対応を

不動産の売買には、登記済証や登記識別情報通知書の提出が求められます。万一書類を紛失してしまったときは、以下の代替手段で対応しましょう。

1.登記官による事前通知
2.司法書士、弁護士、土地家屋調査士などによる本人情報提供
3.公証人による認証提供

不動産登記法改正前は、紛失した際に保証書が必要でした。2名の保証人を必要とする大掛かりな作業です。当時と比較すれば、随分と手続きが簡易化しています。変更点を正しく理解し、スムーズに処理を進めましょう。

紛失したときには不正登記防止申出をしましょう


権利証を紛失したときには、偽造や勝手な移転登記といったトラブルを未然に防ぐことが望まれます。そのもっともな手段となるのが、「不正登記防止申出」です。3カ月が期限となりますが、期間中に何らかの手続きが進められた場合、防止申出をした本人宛に確認が入ります。確認を受けた本人は、虚偽の申請があった場合、すぐに対策を立てることが可能です。期限の3カ月が過ぎた後でも、もう一度申請すれば、何度でも防止申出ができます。

ただ、そう何度も防止申出をするのは手間もかかりますので、最初の防止期間中に書類が見つからない場合は、登記識別情報を失効するとよいでしょう。権利証としての効力が失われるので、悪用される心配もなくなります。

いずれの手続きも登記所に本人が出頭する必要があります。悪用防止目的とはいえ、煩わしさを感じる方も多いはずです。やはり大切な書類は印鑑とともに、きちんと保管しておくのが何よりのトラブル対策になります。防犯意識をきちんと持ち、さまざまな手続きを必要としない状況にしておきましょう。

権利証は不動産取引にあたって重要な書類です。万一紛失しても、早期の対策でトラブルは回避できます。その対策をおぼえておくのはもちろん、紛失しないことも心がけてください。